放課後等デイサービスでLINE公式アカウントを開設すると、見学希望者が使い慣れた画面から連絡でき、休業案内やイベント情報もまとめて届けられます。一方で、友だち追加されなければ接点にならず、個別の空き判断や支援相談まで自動応答へ任せることもできません。
導入前に決めたいのは、「LINEを使うか」ではなく、何をLINEで受け、どこから職員が対応し、既存の連絡帳アプリや電話とどう分けるかです。本記事では、新規問い合わせと利用中の家庭への連絡を混同せず、管理者・児発管・経営者が運用ルールを作る順番で整理します。

放デイでLINE公式が向く用途・向かない用途
LINE公式アカウントが向くのは、営業時間、所在地、見学の流れ、相談受付中の曜日といった、公開済みで共通の情報を案内する用途です。休業日や見学会の一斉配信、ホームページの更新案内、問い合わせ受付の完了通知にも使えます。入口をLINEにしても、正式な記録を事業所の管理表へ移す設計があれば、担当者以外も経過を追えます。
向かないのは、緊急連絡、当日の欠席連絡を即時対応する前提の窓口、個別支援の相談、利用可否の確定です。チャットが送信された事実と、職員が内容を確認して業務上の対応を終えた事実は同じではありません。「既読」が付いても、送迎担当や児発管への共有、記録、折り返しが残っている場合があります。
新規問い合わせでは、氏名、連絡方法、年齢・学年、見学希望といった一次受付に絞ります。障害名、診断、学校、住所、家庭状況など、初回の回答に不要な情報をトーク画面で詳しく送るよう求めません。必要な情報は、利用目的を説明し、管理された面談や申込の手続きで確認します。
利用中の家庭への連絡では、事業所の正式な連絡帳や業務システムとの二重管理が起こりやすくなります。LINEだけに支援経過が残ると、個別支援計画の担当者や当日の職員が確認できないことがあります。用途を「広報と新規受付」に限定する選択も、運用として十分に成立します。
無料枠でできること
LINEヤフーの公開情報では、LINE公式アカウントにはメッセージ配信、1対1のLINEチャット、トーク画面下部のリッチメニュー、ステップ配信などの機能があります。料金と機能は変更されるため、設定時には公式ページを再確認してください(取得日:2026年8月21日、LINEヤフー「LINE公式アカウント」)。
コミュニケーションプランは**月額固定費0円、無料メッセージ200通(2026年8月21日取得、LINEヤフー「LINE公式アカウント料金プラン」)**で、追加メッセージは送れません。通数は「事業所が送る配信」の設計に影響するため、友だち数と配信頻度から見積もります。個別チャットと一斉配信ではカウントの扱いが異なる場合があるので、公式のカウント方法も設定画面と合わせて確認します。
無料で始められることと、運用コストがないことは別です。最初に、プロフィール、あいさつメッセージ、応答時間、担当部署、引き継ぎ先を設定します。毎月は、配信内容の確認、未対応チャットの点検、担当者不在時の引き継ぎ、友だち数とブロック状況の確認が発生します。
リッチメニューには「見学・利用相談」「空き状況」「アクセス」「よくある質問」など、利用者が次に行うことを少数に絞って置きます。LINE内に全情報を複製せず、更新元をホームページにしてリンクします。営業時間や送迎範囲が変わったとき、複数箇所を直す手間と表示の食い違いを減らせます。
自動応答は、あいさつ、営業時間外の受付通知、特定キーワードへの定型回答に使えます。ただし、似た表現や文章で届く相談をすべて拾えるわけではありません。反応しなかったメッセージを誰が確認するか、回答できないときにどの文面で職員へつなぐかまでが設定です。
新規問い合わせをLINEで受けるときの問題
1つ目は、友だち追加のハードルです。ホームページを見た人が、友だち追加、あいさつメッセージの確認、問い合わせ送信まで進む必要があります。LINEを使っていない人や、事業所と個人のLINE上でつながることに抵抗がある人もいます。電話、フォーム、LINEのうち少なくとも二つを示し、LINEだけを入口にしません。
2つ目は、個人情報です。トーク画面は入力しやすいため、事業所が求めていなくても診断名、学校名、住所、支援歴が送られることがあります。あいさつメッセージに「初回は氏名、連絡先、年齢・学年、相談内容のみ」「詳しい状況は担当者から確認」と書き、プライバシーポリシーへのリンクを置きます。管理画面へアクセスできる端末と職員も限定します。
3つ目は、既読管理です。担当者が画面を開いたことで既読になっても、回答作成、空き確認、折り返し、見学調整が終わったとは限りません。未対応、確認中、返信済み、見学調整中、終了の状態を事業所の受付記録へ移し、次の対応日と担当者を付けます。
受付項目と対応状態は、放デイの問い合わせ電話対応マニュアルと共通にすると、電話とLINEで引き継ぎ方法が変わりません。空きに関する回答は、放デイの空き状況問い合わせ対応のように、公開できる情報と個別確認が必要な条件を分けます。
保護者連絡はLINEでよいのか
利用中の家庭との連絡にLINEを使う場合は、連絡帳アプリ、電話、メールとの役割を文書化します。使いやすさだけで決めると、欠席はLINE、支援記録は連絡帳、緊急連絡は電話という区分が職員と家庭で異なり、確認漏れが起きます。
連絡帳アプリは、日々の支援記録、家庭からの共有、出欠、請求や書類など、サービス提供に結びつく情報を事業所単位で管理する用途に向きます。LINE公式は、公開情報の配信、新規見学の一次受付、ホームページへの案内に限定すると境界が明確です。LINEで届いた利用中の相談を正式記録へ転記する必要があるなら、転記の担当と期限を決めます。
緊急時は電話、当日の欠席は指定時刻までに連絡帳アプリ、個別支援に関する相談は面談または連絡帳、LINEは広報と新規受付、というように具体化します。すべてを一つの窓口へ集めるより、情報の性質と確認体制に合わせて入口を分けたほうが、誰が対応するかが明瞭になります。
運用開始時には、利用規約やプライバシーポリシーだけでなく、受付時間、返信の目安、緊急連絡を受けないこと、送ってほしくない情報を短い案内にします。「24時間送信可」と「24時間職員が回答」は異なるため、同じ画面に両方の条件を表示します。
キーワード自動応答で答えられる質問・答えられない質問の境目

自動応答に入れる質問は、回答が公開情報だけで完結し、相手によって結論が変わらず、更新担当が決まっているものに限ります。個別判断が含まれる質問は、必要事項だけ受け付けて職員へ引き継ぎます。
| 質問 | 自動応答での扱い | 理由・次の対応 |
|---|---|---|
| 営業時間は何時ですか | 公式ページの営業時間を案内 | 共通情報。臨時休業の更新元を一つにする |
| 事業所はどこですか | 地図とアクセスページを案内 | 共通情報。送迎可否とは分ける |
| 見学はできますか | 申込方法と受付項目を案内 | 日程確定は職員が行う |
| 空きはありますか | 確認日と相談受付中の曜日を案内 | 利用可否は送迎・支援体制を個別確認 |
| 自宅まで送迎できますか | 通常の送迎範囲を案内 | 住所、学校、曜日、ルートは職員が判断 |
| この特性でも利用できますか | 一次相談を受け付ける | 支援ニーズと体制を児発管等が確認 |
| 今日の欠席を伝えたい | 正式な欠席連絡先を案内 | 即時確認を自動応答で約束しない |
| 支援中の出来事を相談したい | 担当者への連絡方法を案内 | 公開チャネルの定型回答にしない |
回答文には、情報の確認日、個別確認が必要な条件、職員から連絡する目安を入れます。「空きあり」ではなく、「8月21日現在、火曜の見学相談を受付中。利用可否は送迎と支援体制を確認後に回答」のように、公開情報と確定判断を分けます。
「空き状況」「見学の可否」を24時間答えるには
24時間対応に必要なのは、夜間も職員が管理画面を見ることではありません。公開できる最新情報を自動で案内し、個別の希望を受け付け、翌営業日に職員が判断できる記録へつなぐ仕組みです。
まず、曜日別の相談受付状況、確認日、送迎範囲の目安、対象年齢、見学の流れを一つの回答台帳にします。次に、LINEのキーワード、自動応答、リッチメニューとホームページが同じ台帳を参照するように文面をそろえます。最後に、氏名、希望連絡方法、年齢・学年、希望曜日を受け付け、受付日時と未対応状態を職員の一覧へ残します。
「見学できますか」には、見学相談を送信できることまで回答し、日程の確定はしません。「空きはありますか」には、相談受付中の曜日と確認日まで回答し、利用可能とは断定しません。自動応答から人へ切り替わった後も、同じ質問を聞き直さないよう、受付内容を引き継ぎます。
公開情報の案内と一次受付が自事業所でどう見えるか確認したい場合は、実際の質問例で kotae.chat のデモを触ってみる(入力不要) と、定型応答との違いを確かめられます。
月次では、友だち追加数より、問い合わせ数、未返信件数、見学調整へ進んだ件数、回答できなかった質問を確認します。答えられなかった質問が増えたら、キーワードを無制限に追加するのではなく、ホームページのFAQを更新するか、職員へつなぐ条件を見直します。
よくある質問
個人のLINEアカウントを事業所連絡に使ってもよいですか?
職員個人のアカウントでは、退職・異動時の引き継ぎ、アクセス管理、業務記録との分離が難しくなります。事業所として管理するLINE公式アカウントや連絡帳アプリを使い、管理者権限、端末、対応時間、記録先を定めてください。
LINE公式アカウントだけで問い合わせ窓口を作れますか?
作成はできますが、友だち追加を望まない人やLINEを使わない人もいるため、電話またはフォームを残します。各窓口で受付項目と対応状態を共通化し、一つの管理表へ集めると引き継ぎやすくなります。
自動応答で空きありと答えてもよいですか?
更新日を付けた「相談受付中の曜日」までは案内できます。利用可否は、送迎ルート、人員配置、支援ニーズ、希望曜日を職員が確認してから回答し、自動応答で確定させない運用が適切です。