放課後等デイサービスの稼働率を上げるには、月末の利用人数だけを見るのではなく、曜日ごとの空き枠と、その枠が埋まらない理由を確認します。問い合わせが少ない曜日、見学調整で止まる案件、欠席が重なる曜日では、必要な対策が異なります。

稼働率は経営を確認する一つの指標ですが、数字だけを上げようとすると、送迎や職員配置に無理が生じます。本記事では、管理者・児発管・経営者が同じ数字を見て判断できるように、計算式、一次統計との比較、空き枠の案内、キャンセル待ちの運用を順に整理します。

放課後等デイサービスの職員が曜日ごとの利用予定表を確認する様子

稼働率の計算式、見るべきは月次より曜日別

月次集計だけでなく曜日別に空き枠を比較する考え方

外部の統計や他事業所と比較するときは、定員稼働率=延べ利用人数÷(届出定員×サービス提供日数)×100を使います。一方、自事業所の曜日別の運用を見るときは、枠充足率=延べ利用人数÷事業所が計画した受け入れ枠×100を使います。比較するときは、どちらの指標かを明記し、集計ルールを固定します。

たとえば、枠充足率の計算例として、1日の計画した受け入れ枠を10人、月のサービス提供日数を20日、実際の延べ利用人数を160人とすると、160÷200×100で80%です。これは計算方法を示す例であり、目標値を示すものではありません。人員配置や支援内容に合わせて受け入れ枠を減らすと、利用人数が同じでも枠充足率の数字だけが上がる点に注意してください。

月次の稼働率だけでは、曜日偏りが隠れます。月曜日は予定が埋まり、金曜日は空いている場合、月平均を見て「あと数人」と考えても受け入れられる曜日と希望が一致しません。次のように曜日別で確認します。

曜日計画した受け入れ枠実際の延べ利用人数欠席新規相談見ること
自事業所の集計値自事業所の集計値件数件数満枠時の待機案内
自事業所の集計値自事業所の集計値件数件数送迎や対象の不一致
自事業所の集計値自事業所の集計値件数件数欠席理由と振替余地
自事業所の集計値自事業所の集計値件数件数見学から利用までの停滞
自事業所の集計値自事業所の集計値件数件数認知と案内の不足

週ごとの揺れに反応して予定を変えるのではなく、同じ定義で月次推移を見ます。そのうえで、曜日ごとの問い合わせ、見学、利用開始、欠席をつなげて原因を確認します。

1事業所あたりの収支の実際

自事業所の数字を位置づけるときは、同じサービス種別と調査年度を確認します。厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」第26表の放課後等デイサービスは、次の値を示しています。

指標一次統計の値自事業所で比較する値
1事業所当たり年間収入31,606千円(令和4年度決算、厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」第26表同年度の事業活動収益
収支差率5.8%(令和4年度決算、同調査第26表収支差額÷事業活動収益
過年度の収支差率9.9%(令和2年度、同調査第26表10.7%(令和元年度、同調査第26表報酬改定や費用条件を分けて推移を見る
利用定員10人(令和5年調査、同調査第26表届出上の定員と運用上の受け入れ枠
常勤換算従事者数5.0人(令和5年調査、同調査第26表調査定義に合わせた自事業所の職員数
利用者1人当たり利用回数6.8回(令和5年9月、厚生労働省「令和5年社会福祉施設等調査の概況」1人当たりの月間利用回数

この表の平均値を、そのまま目標にするものではありません。地域、開所日、加算、送迎範囲、建物費、人員構成が異なれば収支も変わります。まず自事業所の会計値と運営値を同じ期間でそろえ、収入だけでなく人件費、事業費、事務費の変化を確認します。

収支差率は、令和元年度の値と令和4年度決算で差があります。稼働率の低下だけで説明せず、利用回数、単価、加算、人員配置、費用を分けて確認してください。曜日別の空き枠は、このうち利用回数を具体的に見るための入口です。

稼働率が上がらない4パターン

1つ目は、認知不足です。対象地域の相談支援事業所、学校、家庭に、事業所の対象年齢、送迎範囲、活動内容、相談可能な曜日が伝わっていません。この場合は、問い合わせ件数そのものが少なくなります。

2つ目は、導線不足です。ホームページを見られていても電話番号しかない、フォームが長い、空きの確認方法が分からない状態です。問い合わせはあっても折り返しが遅い場合もここに含め、受付から見学までの記録を確認します。

3つ目は、曜日偏りです。希望が特定曜日に集中し、空いている曜日を提案できていません。「空きなし」で終了せず、家庭の予定と支援目的に無理がない範囲で別曜日を案内します。送迎ルートの制約も曜日別に可視化します。

4つ目は、欠席です。利用予定は入っていても、体調、学校行事、家庭都合などで実利用が減ります。欠席理由を支援の評価と混同せず、記録できる範囲で分類します。振替利用を案内できる条件、連絡期限、送迎調整のルールを事前に決めます。

4パターンを見分けるには、曜日別に問い合わせ件数、見学件数、利用開始件数、予定人数、実利用人数、欠席件数をつなげます。認知不足にフォーム改修だけを行ったり、欠席が主因なのに広告を増やしたりしないことが大切です。

キャンセル待ちリストの作り方

満枠の曜日へ問い合わせがあったときは、希望があれば連絡候補リストへ登録します。「キャンセル待ち」という名称を使う場合も、順番どおりの利用開始や案内時期を約束する制度ではないことを説明します。

リストには、受付日、氏名、連絡先、年齢・学年、希望曜日、代替可能な曜日、送迎希望と地域、受給者証の状況、連絡可能時間、最終確認日を記録します。詳しい障害特性や家庭情報まで一覧へ書かず、必要な配慮はアクセスを限定した相談記録で扱います。

空きが出たときは、単純な受付順だけで決めず、希望曜日、送迎ルート、人員配置、支援体制を担当者が確認します。連絡した日時、回答期限、返答、次に連絡する候補を記録し、同じ枠を複数の家庭へ確定案内しないようにします。

リストは月次で見直します。希望が継続しているか、別曜日の案内が可能か、連絡先が有効かを確認します。利用開始に至らない場合も、曜日、送迎、連絡不通などの理由を残すと、空き枠が埋まらない条件を把握できます。

曜日偏りを直す提案の仕方

空いている曜日を埋めるために、家庭の都合や支援計画を無視して曜日変更を促してはいけません。提案前に、児発管が支援目標、学校予定、他サービス、送迎、人員配置を確認します。変更が支援上も運用上も無理がない場合に、選択肢として案内します。

声かけは、空いている曜日へ誘導する言い方ではなく、現在の希望を尊重し、代替案の条件を具体的に伝えます。

「現在ご希望の火曜日は空きがなく、すぐのご案内が難しい状況です。木曜日であれば、送迎と支援体制を確認したうえで見学をご案内できる可能性があります。木曜日も選択肢として確認してよろしいでしょうか。火曜日の連絡希望もそのまま記録します。」

利用中の家庭へ曜日変更を提案するときも、事業所都合だけを理由にしません。

「今後の活動と個別支援計画を確認する中で、〇〇の活動がある木曜日も選択肢になると考えています。ご家庭と学校の予定に支障がないかを伺い、変更する場合は送迎を含めて調整します。現在の曜日を続けるご希望も含めてお聞かせください。」

提案の内容と家庭の意向は記録し、断られた後に繰り返し勧めません。曜日の偏りは、広報で相談可能な曜日を明示する方法と、既存の問い合わせへ代替曜日を案内する方法を組み合わせて調整します。

問い合わせ対応は追加の広告費をかける前に確認できる稼働率対策

広告や紹介先への訪問で新しい接点を増やす前に、すでに届いた問い合わせがどこで止まったかを確認します。支援中の不在着信、担当者不在のメモ、空き確認中の案件、見学後の連絡が別々に残っていると、相談件数と利用開始の間が見えません。

受付日時、希望曜日、送迎、担当者、回答期限、見学日、対応状況を一つの記録にまとめます。未対応、確認中、見学調整中、見学済みを区分し、引き継ぎ時に未完了案件を確認します。これにより、新たな広告費を使う前に、今ある問い合わせから改善できます。

電話の受け方と折り返しは、放デイの問い合わせ電話対応マニュアルの7項目と台本を使ってそろえられます。ホームページからの問い合わせが少ない場合は、放デイのHPから問い合わせが来ない原因をもとに、情報、フォーム、返信体制を順に点検します。

月次では、新規問い合わせ件数、見学決定件数、利用開始件数を曜日別に並べます。問い合わせが見学へ進まない理由を確認してから、認知施策を追加するか、受付運用を直すかを判断します。

稼働率だけを追うと壊れるもの

空き枠を埋めることだけを優先すると、人員配置、送迎、活動スペースに余裕がなくなり、職員が記録や打ち合わせを行う時間も圧迫されます。指定基準を満たしていることと、その日の子どもに必要な支援を安全に提供できることを分けて確認します。

受け入れ判断では、定員だけでなく、子どもの組み合わせ、必要な配慮、職員の経験、送迎時間、欠勤時の体制を見ます。こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月改訂)も踏まえ、支援の質と安全を損なわない運用を前提にします。

管理者は、稼働率とともに、事故・ヒヤリハット、残業、休憩、欠勤、支援会議の実施状況、家族や職員からの意見を確認します。数値の変化が支援現場へ与えている影響を児発管と共有し、受け入れ可能枠を必要に応じて見直します。

稼働率は、空きの理由を見つけて経営と運営を整えるための指標です。問い合わせ、曜日偏り、欠席を改善しながら、人員配置と支援の質を守れる範囲で利用機会をつくってください。

問い合わせ対応を共通化し、営業時間外の見学相談も記録へつなげたい場合は、kotae.chatを受付チャネルとして利用できます。曜日別の空き枠と回答ルールを事業所内で整えたうえで、受付の負担軽減にご活用ください。