障害福祉事業所がICTやAIツールを導入するとき、名称に「ICT」「AI」が入っているだけでは補助対象になりません。自治体の障害福祉分野向け事業では、対象サービス、導入目的、ソフトウェアの機能連携、申請前の契約禁止などが定められます。国のデジタル化・AI導入補助金では、登録されたIT導入支援事業者とITツールを通じた申請が前提です。
本記事では、放デイ・児発の管理者、児発管、経営者が、見積もり前に対象条件を確認する順番を2026年8月21日時点の一次情報で整理します。

放デイが使える補助金は2系統
検討の入口は、自治体が実施する障害福祉分野のICT・介護テクノロジー導入支援と、国の中小企業向けデジタル化・AI導入補助金2026の二系統です。制度名に似た言葉があっても、対象者、対象経費、補助率、申請窓口、契約可能日が異なります。
| 系統 | 主な確認先 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 障害福祉分野の介護テクノロジー・ICT導入支援 | 事業所所在地の都道府県・政令市等 | 放デイ・児発が対象か、対象機器、連携要件、締切、交付決定前の契約可否 |
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 公式事務局とIT導入支援事業者 | 申請者要件、登録ITツール、業務プロセス、補助枠、申請回 |
自治体の制度は募集主体ごとに窓口や日程が異なり、政令市等が別に募集する場合もあります。導入する事業所の所在地と指定主体を確認します。
国の補助金は、一般に販売されている任意のSaaSへ後から申請する仕組みではありません。公式サイトで申請枠、対象者、登録ITツール、支援事業者、申請手続きを確認し、購入・契約前に支援事業者と計画します。
障害福祉分野の介護テクノロジー導入支援事業
山梨県の公開ページでは、障害福祉サービス事業者に加え、障害児支援事業者・障害児相談支援事業者がICT機器導入支援の対象として示されています。甲府市指定の施設・事業所は甲府市の事業対象とされているため、同じ県内でも窓口が分かれます(取得日:2026年8月21日、山梨県「障害福祉分野における介護テクノロジー導入支援事業費補助金」)。
山梨県の対象経費は、情報端末、ソフトウェア、AIカメラ等、Wi-Fiルーター等の通信環境機器、クラウドサービス・保守・サポート・導入設定・研修・セキュリティ対策等の保守経費です。通信環境機器や保守経費は、対象となる端末・ソフト等の導入に必要なものに限られ、インターネット回線使用料等の通信費は対象外とされています(2026年8月21日取得、同県ページ)。
山梨県の金額は、補助基準額100万円、補助率4分の3、最大交付額75万円です。補助対象経費の実支出額と補助基準額100万円の少ない方に4分の3を乗じます(令和9年度導入予定分、2026年8月21日取得、山梨県)。表現上「上限100万円」とだけ書くと、受け取れる補助金が100万円のように読めるため、補助基準額、補助率、最大交付額を分けて確認してください。
ソフトウェアには、施設・事業所の記録業務、情報共有業務、請求業務を一気通貫で行えること(令和9年度導入予定分、2026年8月21日取得、山梨県)、またはバックオフィス業務で転記等が発生しない一気通貫の環境を実現することが要件として示されています。単に記録をデジタル入力できるだけでなく、業務間の連携を製品仕様と運用で説明する必要があります。
応募期限は**2026年9月4日(令和8年、山梨県・令和9年度補助金対象事業の募集)**です。募集対象は令和9年度中に導入予定のICT機器等で、県の交付決定通知より前に導入した経費は対象外と明記されています。締切までに見積書二者以上などの提出書類が必要なため、製品選定だけで日程を使い切らないようにします。
地域差も確認できます。自治体ごとの金額は、補助基準額または補助上限額の定義、補助率、最大交付額を分けて読む必要があります。
| 自治体 | 補助基準額(または補助上限額の定義) | 補助率 | 最大交付額 |
|---|---|---|---|
| 山梨県 | 補助対象経費の実支出額と補助基準額100万円の少ない方 | 4分の3 | 75万円 |
| 札幌市 | 対象経費の実支出額(収入控除後)と補助上限額1,000千円の少ない方 | 4分の3 | 750千円 |
| 広島県 | 公式ページ原文の「補助基準額の上限」として、1施設・事業所あたり100万円 | 4分の3 | 75万円 |
札幌市は、上表の少ない方に補助率4分の3を乗じた額が交付上限です(令和8年募集、札幌市)。申請期限は2026年5月22日15時(令和8年募集、同市ページ)で受付終了と掲載しています。広島県は、ICT導入支援の「100万円」を交付上限ではなく補助基準額の上限と記載し、補助率を4分の3としています(令和8年募集、広島県)。提出期限は**2026年5月20日17時15分(令和8年募集、同県ページ)**です。広島市、呉市、福山市の扱いなど、所在地による対象除外もあります。
補助率や基準額が似ていても、対象サービス、窓口、期限、必要書類は都道府県ごとに異なるため、導入先の公式ページと交付要綱を確認します。
対象になるソフト/ならないソフトの線引き

山梨県の要件を基準にすると、対象になり得るのは、支援記録を入力し、職員間で共有し、その情報を請求業務まで一気通貫で扱えるソフト、またはバックオフィスで転記をなくす統合環境です。カタログに「クラウド」「AI」とあるだけでは足りず、記録、共有、請求がどの画面・データで連動するかを確認します。
| ツール・経費 | 山梨県要件での見方 | 確認資料 |
|---|---|---|
| 記録・情報共有・請求が連携する業務ソフト | 対象になり得る | 機能一覧、データ連携図、見積書、導入計画 |
| 会計・勤怠等を転記なくつなぐバックオフィス環境 | 対象になり得る | 連携範囲、転記削減の説明、対象業務 |
| 対象ソフトと同時導入する端末・設定・研修 | 必要性と対象期間を確認 | 内訳見積、台数根拠、研修内容 |
| チャット、受付、議事録など単一機能のSaaS | 一気通貫要件を満たさない | 他機能との単なる併用ではなく要件を確認 |
| 通信回線の月額 | 山梨県では対象外 | 交付要綱の対象外経費 |
| 交付決定前に導入したもの | 山梨県では対象外 | 契約日、発注日、利用開始日、請求日 |
kotae.chatのような受付AI単体は、この「記録・情報共有・請求の一気通貫」要件では対象外です。 問い合わせ受付の負担を減らす目的があっても、支援記録と国保連請求までを一気通貫で行う製品ではないためです。別の対象ソフトと併用していることだけで、受付AIの費用が対象になるとは判断できません。
対象可否は販売会社の口頭説明で確定させず、自治体へ製品の機能、見積内訳、導入目的、連携図を示して確認します。契約日、発注日、納品日、利用開始日、支払日も事業計画に並べます。
デジタル化・AI導入補助金2026側
デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠は、中小企業・小規模事業者等が、自社の課題に合うITツールを導入して労働生産性の向上を図る制度です。障害福祉専用ではないため、申請者が中小企業等の要件を満たすか、導入するソフトが登録ITツールか、対象の業務プロセスを持つかを確認します。
通常枠の補助率は**2分の1以内(2026年度通常枠、デジタル化・AI導入補助金2026公式サイト)が基本で、補助額は1プロセス以上で5万円以上150万円未満、4プロセス以上で150万円以上450万円以下(2026年度通常枠、同公式サイト)**です。一定の賃金要件を示した場合の別補助率もあるため、自社が該当する場合は公式条件を確認します。
対象はソフトウェア購入費、クラウド利用料最大2年分、一定の機能拡張・データ連携・セキュリティ、導入設定・研修・保守等です(2026年度通常枠、同公式サイト)。汎用・自動化・分析ツールは、業務プロセスに付随しない単体利用が不可とされています。
申請では、IT導入支援事業者が事務局へ登録したITツールが対象です。公式のITツール検索で製品とプロセスを確認し、登録IT導入支援事業者と交付申請を進めます。
都道府県の締切確認の仕方
検索では、「都道府県名 障害福祉 ICT 導入支援 令和8年度」「市名 障害児 ICT 補助金 2026」など、所在地と年度を含めます。検索結果の要約だけで判断せず、自治体ドメインの募集ページを開き、更新日、対象年度、受付中か終了かを確認します。
次に、交付対象のサービス種別を見ます。「障害福祉サービス事業者」に障害児通所支援が含まれるとは限らず、障害児支援を別事業で募集する地域もあります。放デイ・児発、指定権者、政令市・中核市の別を担当窓口へ確認します。
締切は、事前協議、要望調査、交付申請のどの段階かを確認します。広島県のように補助協議書の提出がない場合は補助金申請へ進めない制度もあります。募集開始前の意向調査を出していないと対象外になる場合があるため、「交付申請の締切」だけを見ません。
募集要領、交付要綱、様式、FAQの版と取得日を記録します。対象者、対象経費、補助率・上限、期限、契約可能日、実績報告、相見積、研修、公表義務を確認します。
製品会社へは、「補助対象ですか」だけでなく、対象要件に対応する機能、登録番号、見積内訳、納品・利用開始時期、交付決定まで契約を待てるかを聞きます。最終判断は実施主体が行うため、自治体または事務局への照会記録を残します。
補助金の対象外ツールを入れるときの判断
補助対象外であることは、導入価値がないことを意味しません。受付、採用、広報、議事録などの単機能ツールは、一気通貫要件から外れても、特定業務の時間や取りこぼしを減らす可能性があります。補助金に合わせて不要な統合システムを選ぶのではなく、解決したい課題と総費用で判断します。
月額を見るときは、ライセンス料だけでなく、初期設定、職員研修、コンテンツ更新、運用担当の時間、既存システムへの転記、解約・データ出力を含めます。一方で、削減を見込む時間は、現状の問い合わせ件数、電話時間、折り返し、記録、未対応確認など、自事業所で計測できる項目に限定します。
小さく試す場合は、対象部署、期間、評価指標、継続判断日を決めます。「AIを導入した」ことを成果にせず、営業時間外の受付件数、翌営業日までの引き継ぎ、回答できなかった質問、職員の確認時間、見学調整への移行を比較します。個人情報を入力させない試用環境から始める方法もあります。
補助対象外の受付AIが、自事業所の質問にどこまで答え、どこから職員へつなぐべきかを確認する場合は、個人情報を入力せず kotae.chat のデモを触ってみる(入力不要) で画面と回答範囲を試せます。
問い合わせ業務を測る項目は、施設への問い合わせ電話を減らす方法の着信理由と受付後の運用、HP側の入口は放デイのHPから問い合わせが来ない原因の導線チェックも使えます。補助金の採択有無と関係なく、導入前の値を残すと継続判断ができます。
よくある質問
放デイなら山梨県のICT補助金を使えますか?
山梨県ページでは障害児支援事業者が対象者に含まれますが、甲府市指定の事業所は甲府市の対象とされ、製品機能、導入時期、経費にも要件があります。所在地、指定主体、募集年度、交付決定前の契約可否を県または市の窓口へ確認してください。
受付AIはICT導入支援の対象ですか?
山梨県が示す「記録・情報共有・請求を一気通貫で行う」要件では、受付AI単体は対象外です。別制度で登録ITツールになっているか、他地域に異なる要件があるかは、それぞれの公式情報と実施主体へ確認します。
採択されてから契約すればよいですか?
制度ごとに「交付決定」「内示」「採択」と契約可能時点の扱いが異なります。山梨県は交付決定通知より前に導入した経費を対象外としています。契約、発注、納品、利用開始、支払の各日を、募集要領と担当窓口で確認してから進めてください。